では、発症を抑えるためにはどうすればよいでしょうか。
生活習慣として食事の注意です。
肥満であれば体重減少により効果があります。2kg減るだけで疼痛緩和が多くに認められます。最近、グルコサミン、コンドロイチンなどサプリメントとして宣伝されています。現在のところ、サプリメントのうち、グルコサミンやコンドロイチン硫酸は中等度までの膝関節痛には効果がある報告がありますが、摩耗した軟骨を治すことは証明されておりません。
つぎに運動療法です。
大腿四頭筋を鍛えることが大切です。仰向けに寝た肢位で膝を伸ばしたまま、股関節を曲げ脚を上に挙げる訓練。これを1日20回ずつ施行することからはじめてみましょう。1ヵ月したら1kgの重りを付けてみて、さらに1ヵ月したら計2kgの重りを付けてみて、以降続けることによる大腿四頭筋の訓練が勧められています。
歩行は体重が膝に負担としてかかるので歩いてばかりでは膝にとっては芳しくなく、かといって休んでばかりでは筋力が落ちてしまいます。体重がかからないプールでの歩行や、アメリカのガイドラインでは、可能であるなら20分程度の歩行が推奨されております。無理をせず、杖や押し車の使用による歩行が膝や他の関節への負担も妨げる効果になります。
急性期や運動後の膝に熱をもつ状態でなければ、暖めることや、サポーターなどで膝を冷やさないようにします。ガクガクするような膝の不安定性には支持性のサポーターの使用や、O脚に対しての楔状型の足底板治療法があります。
それでも痛みがある場合には、湿布や軟膏、消炎鎮痛剤の内服治療、さらにヒアルロン酸の関節内注射などがあり、このような治療に困難な例に手術(骨切り術や人工関節置換術)を要します。 |