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まず始めにお話したいのは、糖尿病の食事療法は決して食事制限ではないということです。実際に糖尿病患者さんで食べてはいけないものは何一つなく、むしろ1日30品目以上の食材をバランスよく食べることを勧めています。但し、食べ過ぎはいけません。一般的に適切なエネルギー摂取量は標準体重({自分の身長m}×{自分の身長m}×22)×身体活動量(25Cal
~35Cal)で求められます。たとえば160cmの主婦であれば、1.6×1.6×22=56Kgが標準体重であり、これに身体活動量の30Calを掛けた56Kg×30Cal=1680Calが適切なエネルギー摂取量です。そしてこのエネルギー量で計算された食事は身長が同じ160cmであれば、御主人が摂っても全く問題ないものです。
食事は一生摂り続けるものです。御自分の適切なエネルギー摂取量を主治医や管理栄養士さんに御相談下さい。 |
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運動療法 |
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運動すると血糖値は下がります。それは運動でカロリーを消費したことにもよりますが、運動によりインスリンの効きが良くなった(インスリン抵抗性が改善した)ことにもよります。また運動することの利点として、筋肉の萎縮を防ぐことも挙げられます。食事療法で体重が減ると、脂肪より先に筋肉が落ちてくる(萎縮)と言われていますが、この筋肉の萎縮を予防します。
運動の強度としては「きつい」と感じる運動では強すぎ、「楽である」、「ややきつい」程度の運動が目安です。また運動の頻度は出来れば毎日、1回20?30分行うことが望まれますが、継続することが大切であり、無理なく続けられる運動をお勧めします。例えば「バス停を1つ分歩く」「駐車場では出入口から一番奥に停車する」といった程度でも毎日続ければ効果がみられるでしょう。
但し、合併症の進んだ人や血糖のコントロールが極めて不良な人など、運動療法を制限した方がよい人もいますので、運動療法を始める際は必ず主治医に相談して下さい。 |
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薬物療法 |
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糖尿病の薬物療法は大きくわけて、飲み薬(経口血糖降下剤)とインスリンがあります。経口血糖降下剤は作用機序の違う5種類が発売されており、それぞれ特徴が異なります。お薬を服用しているようなら、御自分の薬がどのような作用の薬なのかは理解する必要があります。
インスリンも現在は作用機序が違うものが10数種類も発売されています。また注射器具や注射針なども十数年前と比べ、格段に進歩しました。インスリンに関しては以前から「インスリンは最終手段だ」、「インスリンを使ったら、自分のすい臓が駄目になる」などの迷信と誤解が数多くありますが、今は自分のすい臓を守るために早い時期からインスリンを使うこともあります。糖尿病治療の選択の一つとして、インスリンを考慮することは大切だと思います
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その他のコントロール目標 |
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血糖値に関しては、以前にお話ししたようにHbA1c値で6.5%未満にコントロールすることが重要です。しかしながら、血糖のコントロールと同様に血圧と脂質のコントロールも重要です。なぜなら高血圧も高脂血症も動脈硬化の危険因子であり、すなわち狭心症、心筋梗塞、脳卒中の危険因子でもあるからです。
日本糖尿病学会の推奨する糖尿病患者さんの血圧と脂質の値は以下の通りです。 |
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●血圧 |
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・ 収縮期血圧:130mmHg未満
・ 拡張期血圧:80mmHg未満 |
●血清脂質 |
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・ 総コレステロール:200mg/dl未満
・ LDLコレステロール: 120mg/dl未満
・ 中性脂肪:150mg/dl未満
・ HDLコレステロール:40mg/dl以上 |
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