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第3回 糖尿病をより良く理解するために

Dr_photo 皆さん、こんにちは。東海大学医学部付属病院で糖尿病の診療をしています、鈴木大輔と申します。
今回皆様と一緒に、とても身近でありふれた病気である糖尿病について、4回のシリーズで考えてみたいと思います。

東海大学医学部 腎内分泌代謝内科 
診療科長 助教授 鈴木 大輔
   はじめに
  前回までに糖尿病の現況や原因、検査などをお話しました。今回のコラムでは糖尿病の合併症について考えてみましょう。
   糖尿病の合併症
  糖尿病は血糖値が高くなる病気です。血糖値とは血液の中のブドウ糖の割合のことです。すなわち糖尿病では血管の中を流れている血液中のブドウ糖濃度が高く なり、全身をくまなく巡っているさまざまな血管に障害を起こします。言い換えると糖尿病とは血管病といっても過言ではありません。

本コラムではこの血管障害を細い血管(細小血管障害)と太い血管(大血管障害)の二つに分けて、考えてみたいと思います。
   細小血管障害
 

主に小さな血管が障害され、糖尿病に特徴的とされています。糖尿病の三大合併症と呼ばれることもあります。最小血管障害には糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症の3つがあります。

●糖尿病神経障害
おもに足の先に、基本的には左右対称におこります。しびれや異常感覚(じんじん、ピリピリ、灼熱感など)、「裸足で畳の上を歩いていても足の裏にもう1枚足の皮があるような感じ」と表現されることもあります。その他にこむらがえりなどの症状がでることもあります。

また痛みや感覚障害といった症状以外に、立ちくらみや、下痢・便秘などの消化器症状や勃起障害などもおこることがあります。

●糖尿病網膜症
正常、単純網膜症、増殖前網膜症、増殖網膜症の4つに分類されます。現在、年間約4000人の患者さんが糖尿病網膜症で失明していると推測されています。 糖尿病網膜症ではある程度病状が進行しても、自覚症状が出ないこともあり、定期的な眼科医への通院が必要です。推奨されている眼科への受診期間は以下の通 りです。

正常から単純網膜症の初期まで :1年に1回
単純性網膜症の中期以降 :3-6ヶ月に1回
増殖前網膜症以降は状態により :1-2ヶ月に1回

●糖尿病腎症
微量アルブミン尿が出始めたら、糖尿病腎症の始まりです。微量アルブミン尿とはいわゆる健診などで検査される蛋白尿(顕性蛋白尿)が出る前の段階の少ない 量の蛋白尿のことでです。この段階で的確な血糖や血圧のコントロールを行えば、進行は確実に抑制出来ますし、正常に戻すことも出来ます。逆にこの時期に的 確なコントロールを行わなければ、顕性蛋白尿(いわゆる健診などで指摘される蛋白尿)へと進行します。一度顕性蛋白尿が出ると、なかなか改善せず、徐々に 蛋白尿が増加するとともに、腎機能が低下します。

その後はさらに腎機能が低下し腎不全となり、透析療法(腎臓が機能しなくなり機械をつかって腎臓の代わりをする治療法)に移行する患者さんもたくさんいま す。実際に1998年以降の統計では透析療法の原因疾患の第一位となり、透析になる患者さんの原因では40%以上を占めています。

糖尿病腎症も蛋白尿が多量に出たり、腎機能が著しく低下するまでは、自覚症状はほとんどありません。ですから定期的に尿の検査を行い、蛋白尿が出ていない かチェックする必要があります。また蛋白尿が出ていない方でも、3ヶ月に1度程度の微量アルブミン尿の測定が勧められています。

   大血管障害
  直接命にかかわってくる重大な合併症です。糖尿病以外にも高血圧や高脂血症によって引き起こされる動脈硬化が原因です。

●狭心症、心筋梗塞
心臓に栄養を送っている血管(冠動脈)が詰まりかけたり、完全に詰まってしまったためにおこる病気です。胸が突然締めつけられるような感じがあり、放っておくと命にかかわります。

●脳梗塞、脳出血
脳の血管が詰まったり、破れて出血したりしたためおこります。突然発症することが多く、やはり命にかかわります。

●閉塞性動脈硬化症
足の血管が細くなっておこります。ある一定の距離を歩くと足が痛くなり、歩けなくなります。

以上のように糖尿病は全身の血管が障害される血管病です。そしてその進行はゆっくりですが確実であり、症状が無い時期からしっかり治療することが何より重要です。

次回の最終回は糖尿病の治療についてお話します。
 
 
     東海大学医学部 腎内分泌代謝内科 
診療科長 助教授 鈴木 大輔
Dr_photo
[略歴]  
1989年3月 東海大学医学部卒業
1991年4月 東海大学医学部大学院入学
1995年4月 東海大学医学部腎・代謝内科助手
  米国ミネソタ大学小児腎臓科へ留学
1997年3月 帰国
1999年4月 東海大学医学部腎・代謝内科講師
2003年4月 東海大学医学部腎・代謝内科助教授
  現在に至る
[受賞歴]  
1994年 日本内科学会奨励賞
1995年 Juvenile Diabetes Foundation International Post Fellowship Award
1995年 松前重義賞「学術部門」
2002年 日本糖尿病合併症学会賞
-Young Investigator Award
[資格]  
医学博士、内科認定医、糖尿病専門医、腎臓病専門医、糖尿病学会研修指導医、日本内科学会研修指導医、日本腎臓学会学術評議員、日本腎臓学会指導医
[所属学会]  
日本内科学会、日本腎臓学会、日本糖尿病学会、日本糖尿病性合併症学会、日本透析医学会、アメリカ腎臓学会、アメリカ糖尿病学会
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