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第2回 糖尿病をより良く理解するために

Dr_photo 皆さん、こんにちは。東海大学医学部付属病院で糖尿病の診療をしています、鈴木大輔と申します。
今回皆様と一緒に、とても身近でありふれた病気である糖尿病について、4回のシリーズで考えてみたいと思います。

東海大学医学部 腎内分泌代謝内科 
診療科長 助教授 鈴木 大輔
   はじめに
  第1回の本コラムでは、糖尿病の現況や治療目標などについてお話しました。今回は実際の糖尿病の分類や診断、何故血糖が高くなるか考えてみましょう。
   糖尿病の分類
  糖尿病は、その発症の原因によって大まかに『1型』『2型』に分類されます。1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)は、小児や若年者に多く見られ、ウイル スの感染などによってインスリンを分泌するすい臓が破壊され、インスリンを分泌することができなくなります。もう1つの2型糖尿病(インスリン非依存型糖 尿病)は生活習慣と深い関連があり、日本人の糖尿病の約95%がこれにあたります。患者さんの多くは中高年ですが、若年層が発症しないわけではありませ ん。たとえ子どもであっても、過食や運動不足などの悪習慣を続ければ、2型糖尿病を発症することは十分考えられます。
これらとは別に、すい炎やすい臓がんなどのすい臓の病気、インスリンの作用を妨害する副腎皮質ホルモンなどが過剰に分泌される病気、薬剤の副作用などに よって発症する場合もありますが、これらは「その他の特定の機序、疾患によるもの」と呼ばれ、一般の糖尿病とは区別されています。
また妊娠中に発見された糖尿病も「妊娠糖尿病」と呼ばれ区別されます。
   糖尿病の原因
 

人間が生きていくうえで重要なエネルギー源となるのがブドウ糖、いわゆる血糖です。このブドウ糖を体内に取り込み、エネルギー源に変えることができるホル モンがすい臓から分泌されるインスリンです。ブドウ糖を体内に取り組むことが出来るホルモンがインスリンしかないということが、糖尿病患者さんがが近年激 増している一つの原因と考えられています。糖尿病では、何らかの原因でこのインスリンの分泌が減少したり、インスリンの作用が弱まるため、ブドウ糖がうま く利用されず、血液中に残ってしまいます。この状態が「高血糖」です。そしてこの高血糖状態が長く続くと糖尿病の合併症が発症します。
ところで一般的にはインスリンが出ていないために糖尿病が発症すると考えられていますが、人よりもたくさん出ている糖尿病患者さんもいます。そういった患者さんではインスリンはたくさん出ていても上手く作用していないために、高血糖となります(インスリン抵抗性)。
一方、インスリンの分泌量が低下しやすい体質を持っている人もいます。特に日本人に多い2型糖尿病患者さんでは、食後のインスリンの分泌が遅れたり、必要量分泌されない場合があります。

   検査と診断
  糖尿病の疑いや可能性があると考えられる人には、まず問診で既往歴や喫煙・飲酒の有無、自覚症状の有無や程度が確認されます。しかしながら「のどが渇く」 「トイレが近くなる」「からだがだるい」といった、糖尿病に典型的な症状は、血糖値が多少高い程度ではほとんど自覚することはありません。
現在、糖尿病を確定診断するためには3つの方法があります。そのいずれも血糖値の検査です。


1. 早朝空腹時血糖値 :126mg/dl以上
2. 75gブドウ糖負荷試験で2時間値 :200mg/dl以上
3. 随時血糖値 :200mg/dl以上

このうちどれか一つに当てはまると「糖尿病型」と診断され、別の日に行った検査でさらにどれか一つに当てはまると「糖尿病」と診断されます。
ちなみに正常の血糖値は空腹時血糖値 :110mg/dl未満、75gブドウ糖負荷試験で2時間値 :140mg/dl未満です。
また随時血糖値200mg/dlとは食事をしようとしまいと、どんな時に測っても血糖値が200mg/dlを越えていることです。
 
   ヘモグロビンA1c(HbA1c)
  糖尿病の診断は血糖値で行います。但し、血糖値は食事や測定時間の影響を大きく受けるため、血糖値のみで糖尿病のコントロール状態を判断するのは危険で す。そこであるのがHbA1cです。これは過去1、2ヶ月前の血糖値の平均値だと考えられています。したがって、採血の前にアイスクリームを食べようが ジュースを飲もうが変化しません。逆に採血の前に数日間だけ食事量を減らしても変化しない値です。
正常値は4.3〜5.8%です。可能であれば6.5%未満を目標に血糖のコントロールを行うことが望ましいとされています。

次回、第3回の本コラムでは糖尿病の合併症について考えましょう。
 
 
     東海大学医学部 腎内分泌代謝内科 
診療科長 助教授 鈴木 大輔
Dr_photo
[略歴]  
1989年3月 東海大学医学部卒業
1991年4月 東海大学医学部大学院入学
1995年4月 東海大学医学部腎・代謝内科助手
  米国ミネソタ大学小児腎臓科へ留学
1997年3月 帰国
1999年4月 東海大学医学部腎・代謝内科講師
2003年4月 東海大学医学部腎・代謝内科助教授
  現在に至る
[受賞歴]  
1994年 日本内科学会奨励賞
1995年 Juvenile Diabetes Foundation International Post Fellowship Award
1995年 松前重義賞「学術部門」
2002年 日本糖尿病合併症学会賞
-Young Investigator Award
[資格]  
医学博士、内科認定医、糖尿病専門医、腎臓病専門医、糖尿病学会研修指導医、日本内科学会研修指導医、日本腎臓学会学術評議員、日本腎臓学会指導医
[所属学会]  
日本内科学会、日本腎臓学会、日本糖尿病学会、日本糖尿病性合併症学会、日本透析医学会、アメリカ腎臓学会、アメリカ糖尿病学会
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