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第1回 糖尿病をより良く理解するために
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皆さん、こんにちは。東海大学医学部付属病院で糖尿病の診療をしています、鈴木大輔と申します。
今回皆様と一緒に、とても身近でありふれた病気である糖尿病について、4回のシリーズで考えてみたいと思います。
東海大学医学部 腎内分泌代謝内科
診療科長 助教授 鈴木 大輔 |
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残念ながら現代の医療では、糖尿病を完全に治すことは出来ません。何故なら、多くの糖尿病患者さんはもともと糖尿病になりやすい体質を持って生まれて、そこに生活や食習慣といった生活習慣の乱れが加わり、その結果発症するのが糖尿病だからです。
一方で、実際の医療現場では、たとえば一度始めたインスリン注射をやめることが出来た患者さんや、服用していた飲み薬をやめることが出来た患者さんは沢山 います。しかしそのような患者さんの多くが、もし治療以前の生活習慣に戻れば、かなりの確率で血糖のコントロールは不良となり、そして再びインスリンや飲 み薬が必要となります。
ですから糖尿病は「完治」しない病気であると思った方が良いかも知れません。ただし現代の医療では糖尿病を正常な人と同じように厳格にコントロールするこ とが可能となりました。すなわち、治らない病気ではありますが、しっかりコントロールすることは可能であり、そうすれば合併症の発症を防ぐことはもちろ ん、健康な人と同じ寿命を全うすることも可能です。
現在の糖尿病治療の目標は、「血糖、体重、血圧、脂質の良好なコントロール状態を維持」し、後にお話しする「糖尿病細小血管合併症(神経障害、網膜症、腎 症)および動脈硬化性疾患(虚血性心疾患、脳血管障害、閉塞性動脈硬化症)の発症、進展を防止」し、「健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)を維持 し、健康な人と変わらない寿命の確保」とされています。これは夢の目標ではなく、実現可能な目標です。
そしてこの目標を達成するためには、糖尿病を正しく理解し、うまく付き合っていく必要があります。
この4回シリーズのコラムが、皆様方にとって少しでも糖尿病についての理解が深まるお手伝いになればと思い、執筆することにしました。
それでは早速、本題に移りたいと思います。 |
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食生活の欧米化や運動不足などの生活習慣の乱れにより糖尿病患者さんは急増しています。2002年の厚生労働省の調査では、全国民のうち糖尿病が強く疑わ れる人が740万人、糖尿病の可能性が否定できない人まで含めると1620万人と国民の10%以上の人に糖尿病の疑いがあることが報告されました。しかし ながら実際に糖尿病で病院に通っている患者さんはその半数にも及ばず、いかに放置されている患者さんが多いかということがわかります。それでは糖尿病では 一体どんな症状があるのでしょうか?糖尿病になってはじめの頃や血糖があまり高くない時にはほとんど症状はありません。この症状が無いということが患者さ んが「自分は症状はないし、病院になんか行く必要はない」と誤解する原因です。しかし、この時期から高血糖により確実に体のいたるところがむしばまれてい きます。さらに血糖が上がっていくと、今度はのどの渇きや尿の量が増えたり、よく水を飲むようになります。また、全身倦怠感や疲労感を感じやすくなり、血 糖がさらに上がると体重が減っていきます。この状態になってから病院に来ると、後にお話する合併症が発症していることが多々あります。 |
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それでは糖尿病を放っておくとどうなるのでしょうか?血糖が高い状態が長い間続くと様々な合併症がおこります。この合併症は大きくわけて二つあり、一つが 糖尿病に特徴的であると言われている細小血管障害で、もう一つは心臓や脳の血管が障害される動脈硬化性疾患です。これらの合併症は一度おこってしまうと、 なかなかもとにはもどりません。
この合併症については第3回のコラムで詳しくお話します。 |
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東海大学医学部 腎内分泌代謝内科
診療科長 助教授 鈴木 大輔 |
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[略歴] |
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1989年3月 |
東海大学医学部卒業 |
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1991年4月 |
東海大学医学部大学院入学 |
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1995年4月 |
東海大学医学部腎・代謝内科助手 |
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米国ミネソタ大学小児腎臓科へ留学 |
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1997年3月 |
帰国 |
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1999年4月 |
東海大学医学部腎・代謝内科講師 |
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2003年4月 |
東海大学医学部腎・代謝内科助教授 |
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現在に至る |
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[受賞歴] |
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1994年 |
日本内科学会奨励賞 |
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1995年 |
Juvenile Diabetes Foundation International Post Fellowship Award |
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1995年 |
松前重義賞「学術部門」 |
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2002年 |
日本糖尿病合併症学会賞
-Young Investigator Award |
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[資格] |
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医学博士、内科認定医、糖尿病専門医、腎臓病専門医、糖尿病学会研修指導医、日本内科学会研修指導医、日本腎臓学会学術評議員、日本腎臓学会指導医 |
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[所属学会] |
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日本内科学会、日本腎臓学会、日本糖尿病学会、日本糖尿病性合併症学会、日本透析医学会、アメリカ腎臓学会、アメリカ糖尿病学会 |
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各科の先生からコメントをいただいてます。 |
コメントはこちら |
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